誰にも知られず森で27年間暮らした男、について

北米大陸のメイン州の森の中で誰とも関わらずに27年間生きたクリストファー・ナイト、についての本のタイトルが、「ある世捨て人の物語」。その副題が、誰にも知られず森で27年間暮らした男、なのである。

今年、もっともそのタイトルに惹きつけられた本の一つです。しかしそこは、ぐっと堪えて購入はせず、町の図書館にリクエスト。そして、読書。

真の隠者は自分語りを嫌う

食べ物や生活品は別荘などから繰り返し盗みながら。過酷なメイン州の冬を凌ぎ1000回を超える侵入も痕跡を残さなかった男。

自分語りを嫌い、特別な主義主張もないように思われる男。そんなクリスだが、わずかばかりの肉声が、そのまま残されている。

「季節と月の満ち欠けで時間を計っていた。月が長針で、季節は短針だ」

「願望が消え去った。何一つほしいと思わなかった。自分の名前すらなくなった。ロマン派的な表現をするなら、完全に自由だったんだ」

「ただそこにいる」

「それだけだ」

クリスは寡黙であるが、大変な読書家で(その本も別荘から盗んだものだが)、「寂しさはいっさい感じなかった」と言う。

「ひとりきりの味を覚えたら、孤独だなんて考えは抱かない。ひとりきりが好きなら、孤独にはならない」

では僕の感想を

僕も含めて現代人は、あまりにも時間に支配されていると思います。彼、ナイトは、森の中で、「今」を生きていた。今、だけを生きていた、そう、思いました。

誰にとっても本当は、過去も未来もなく、常に存在するのは、今、だけなんですが、それを忘却させるのが、垂れ流される数多の情報というやつであり、常識という名の束縛なのかもしれません。

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